スタートアップとメトリクスの上手な付き合い方(「データ分析を駆使したリーンスタートアップ」参加レポ)その1
こんにちは。 「御社みたいな受託の会社でマーケティングって何やるんですか?」って聞かれる度に少なからず傷ついている @take3000 です。
最近、PC内や雲の中のファイルを整理していたら、ちょうど1年位前に参加した勉強会のレポートがでてきました。
「リーン・アナリティクス著者Alistair Croll氏による"データ分析を駆使したリーンスタートアップ"」
読み直してみたら結構良い事がメモしてあったので、ちょっとキレイな文章に整えてブログのエントリー数を稼いで見ようかと思います。 ちなみに、テッキー(※技術的)な話は出ませんので、Developers.IO にメソい話を求めてない方は速やかに次のエントリーへ行ってください。あと、キレイな文章に整える過程で独自解釈が入っているかもしれないので、本当かよと思った方は下記の資料にあたってください。
書籍について http://leananalyticsbook.com/
講師であり、”LEAN ANALYTICS”の著者である Alistair Croll 氏 について https://twitter.com/acroll http://www.slideshare.net/bitcurrent/book-as-api-hugh-mc-guire-and-alistair-croll-toc-nyc-2013
今日は、リーンスタートアップとリーン・アナリティクスについて深く掘り下げて話します。 スライド( http://blog.takejune.com/archives/52334044.html ※リンク切れ)の枚数はたくさんあるけど全部説明するわけではありません。みなさんの質問にあわせたいと思います。 リーンは薄い・痩せているという意味ですが、今日の内容は薄くありません。会社がどういった状況下によって変わっていくのかを紹介します。みなさんも、できるかぎりこの3時間で情報を得て帰ってください。それと、今日の勉強会中に Twitter で私宛にに質問をしてください。それに対して回答していきます。
アナリティクスとは?
アナリティクスとは、いかにして顧客に自分がしてほしいと思うことに向かっているかを測定することです。スタートアップにとってはとても重要なことです。しかし、これには課題があります。スタートアップは、初期段階においてどういったビジネスをしていくのかはわからないため、どういった指標を測定すれば目標に向かっているのかはわからないものです。例えば Paypal は支払いのサービスですが、元々はパームパイロットでした(※筆者注。"Paypal は当初の構想ではクレジットカード番号やパスワードといった個人情報を、安全に送信できるソフトウェアによって、パームパイロットを財布代わりにするというものだった。"「イノベーションのDNA」より)。これは良くなくて(市場規模が小さかった)変更しました。 FreshBooks は顧客に請求書を送る時間をかけたくないというところから始まりました(※http://jp.techcrunch.com/2008/10/15/20081014freshbooks-releases-first-quarterly-industry-benchmark-report/ )。 Wikipediaは最初、図書館の人に記事を書いてもらう計画でした。 Mitel は芝刈り機の会社でした。ロボットに芝刈りをさせることを考えていましたが、ロボットにブレードをまわさせるのは良くないと気づき、通信にシフトしました。 他にも、Hotmal、Flickr、Twitter、Autodesk も最初は今とは違うビジネスをやっていました。彼らは、成長した時に何をやっているかは、初期段階ではわかっていないかったのです。しかし、会社を始めるにはわからなくてもやっていかなくてはなりません。
スタートアップのよくある勘違い
映画の「フィールド・オブ・ドリームス」は、野球の球場を作ったら野球チームがやってきて試合をしてくれると思っていました。「作れば人がきてくれる」。これは起業家としてはダメです。正しいのは、来てくれるものを作ることです。リーンスタートアップでは売れるものを作ることです。 みなさんはものづくりが好きだと思います。だからこそ、エンジニアや製品マネージャになるのだと思います。まずものをつくって、それからどうやって売るかを考える(当日は「あとで質問をする」と発言していました)。しかし、これは非常にお金がかかるやりかたです。この先にものをつくるという誘惑に耐えて、必要とされると信じられるものを探さなくてはいけません。
成長するスタートアップに必要な3つの要素、5つの指標
スタートアップの中で、アナリティクスは意味が違ってきます。 初期段階の企業においては、ずっと試行錯誤の反復をし続け、適切な商品をみつけだします。リソースが尽きる前に見つけ出すのです。 リーンスタートアップには3つのアイデアが入っています。 1つ目は、Stickiness(スティッキネス)。人が惹きつけられるという要素です。 2つ目は、Virality(バイラリティ)。口コミで伝わる、伝えたくなるという要素です。 3つ目は、Revenue(レベニュー)。お金が稼げたらその一部をつかって新しい顧客を獲得します。
エリックのアイデアは良いので参考にしました。 デイブ・マクラー(500スタートアップスの代表)によると5つのことを考えなくてはいけないそうです。 1つ目は獲得、2つ目はアクティベーション。3つ目は維持、4つ目は紹介、5つ目が収益。
- Acquisiton
- Activation
- Retention
- Revenue
- Referral
これはジョークも含まれますが、海賊が「AARRR!」と叫ぶのに似てるので海賊指標と呼ばれています。
共感から始まる5つのフェーズ
我々はこれをもっとすっきりさせました。 どういったビジネスでもあてはまります。例えば美容院では、どうやってお客さんは自分たちのことを知り、切ってもらいたいと考え、そして実際にお店に来てもらい、いくら請求し、口コミで語ってもらえるか、ビジネスはすべてこの5つを気にしなくてはいけません。 我々はこれをマッピングしていろいろなビジネスモデルにあてはめました。 最初は Empathy (共感)です。SONY が Walkman を作ったときは、人々に Walkman が欲しいかと聞いてまわったわけではありません。人々のライフスタイルの変化に適応するものを作ったのです。タブレット PC で Android を使っている人はいますか? 5〜6年前、メディアはタブレットなんか誰も使わないと言っていた。しかし、ユーザーは映画、電子書籍などを読まなくてはならない、という共感があって生まれました。 共感ができたら次は Stickiness が重要です。みなさんは最初から100万人の人を満足させることはできません。まずは100人を満足させましょう。繰り返し使ってもらえるようにしましょう。もしゲーム等で、多くの人が参加しないと役に立たないのであればそのようにするべきです。Skype も2人だけで使っていても役に立ちません。100人の人が皆さんのプロダクトのファンになったとします。そうするとその100人が別のお客さんに語るようになります。これは倍々になる効果があります。これが Virality です。 Virarity は次のステップの Revenue でも役に立ちます。収益のその一部を広告など新規顧客の獲得に使います。マージンは最初は良くなくてもいいのです。フォーカスするのはお金をつくることではありません。 この4つを経て成長が視野に入ります。これが Scale です。しかし、多くの企業は成長にばかりフォーカスして投資家のお金をムダに使ってしまいます。
- Empathy
- Stickiness
- Virality
- Revenue
- Scale
多くのネタ(※考え事という意味と思われる)があり、人間は複雑です。この5つをいろいろなビジネスモデルにマッピングしなくてはなりません。
質疑応答
(Q)Revenue と Scale のところの違いをもうちょっと説明してください。
(A)良い質問ですね。Revenueはお金が入ってきたということです。それを一部、新規顧客獲得に使うことです。 Scaleは組織が拡大したということです。例えばセールスの人は事業が拡大したことがわかってからじゃないと雇わないはずです。東京で始めたら、東京で成功してそれからアメリカに進出するはずです。お金が入ってくることで規模を拡大できるけど、Revenueは入ってきたお金を新規顧客獲得のために再投資することです。
(Q)Stickiness でまずは100人のユーザを獲得しようという話がありました。この100人には根拠があるのか、それとも仮置きの数字なのですか?
(A)カナダと日本がメートルを使っているので100を使いました(笑)。統計的には30以上あれば大丈夫です。もし5人の客しか得られないなら5000人の客は獲得できません。100人ならEmailを送るとかでリーチできます。1000人になるとできません。この質問をもらうまでは私自身も考えてませんでした。いい質問だと思います(笑)
メモの整形なんてすぐ終わるかと思いきや(まだ5分の1くらい…)、いろいろ割り込みが入ったのでま続きはまた明日以降で。